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セクション一覧

第2 【事業の状況】

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、アメリカのサブプライム金融危機と原油価格や原材料価格の上昇等による経済全体の減速感から個人消費の減退を受け内需が縮小しております。 
当社グループの置かれております医薬品小売業界におきましては、処方せんの発行率は緩やかに増加しておりますが、長期処方の導入や被用者保険の本人負担増加など消費者サイドからの受診抑制のみならず、国民医療費抑制の流れは続いており、業界を取巻く環境には引続き厳しいものが有ります。 
こうした環境の下で、当社グループは、積極的に事業の拡大を進めました。
 新規調剤店舗として、国立駅前店(東京都)、熊谷箱田店(埼玉県)、伊勢度会店(三重県)、牛久栄町店、佐貫駅前店(以上茨城県)、大阪鴻池駅前店、大阪長吉店、大阪巽店(以上大阪府)、小鹿店(静岡県)の計9店舗を開設しました。 
HBC事業の店舗として早稲田店(東京都)、越谷駅前店(埼玉県)の計2店舗を出店いたしました。 
さらに営業譲受により、おおぞら薬局(栃木県)、水海道コヤマ薬局(茨城店)、蕨駅前店(埼玉県)、小松薬局(千葉県)、松栄調剤薬局(神奈川県)、三国アオバ薬局、鴫野アオバ薬局、酉島店、住之江店、フラワー薬局住吉店、春日出店、スマイる薬局、粉浜店、桑津店(以上大阪府)京都長岡京店(京都府)、出屋敷店、五月台店、チトセ園田店、アオバ園田店、プレラにしのみや店(以上兵庫県)、小俣2号店、勢田調剤薬局(以上三重県)の計22店舗を取得しました。 
 一方で、浅草橋店、野田町店、東十条店、本北方店、高岡店、阪急大井町店の6店舗を閉鎖し、効率化を進めました。
 この結果、当連結会計年度の売上高は、70,057万円(対前期比11.7%増)、営業利益は、5,143百万円(対前期比29.1%増)、経常利益は4,661百万円(対前期比29.6%増)となりました。
また、特別損失に役員退職慰労金682百万円、債権譲渡損2,449百万円等を計上した結果、当期純利益は、402百万円(対前期比72.4%減)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度に比べて1,480百万円減少し、当連結会計年度末には1,293百万円となりました。
 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動の結果増加した資金は3,197百万円(対前期比5.8%減)となりました。前連結会計年度に比べ195百万円の減少となった主な要因は、税金等調整前当期純利益が1,678百万円減少したこと等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー) 

投資活動の結果、使用した資金は3,020百万円(対前期比95.0%増)となりました。前連結会計年度に比べ、1,471百万円の増加となった主な要因は、敷金保証金の返還による収入が1,594百万円あったものの、有形固定資産の取得による支出890百万円、無形固定資産の取得による支出1,078百万円、貸付による支出10,591百万円があったことによるものです。 

(財務活動によるキャッシュ・フロー) 
 財務活動の結果、使用した資金は1,657百万円(対前期比8.2%増)となりました。前連結会計年度に比べ、124百万円の増加となった主な要因は、社債の発行による収入が5,000百万円あったものの、社債の償還による支出が6,588百万円あったことによるものです。
 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 調剤実績

当連結会計年度における処方せん応需実績を示すと次のとおりであります。

 

地区別
処方せん応需枚数(千枚)
前年同期比(%)
東京都
1,337
99.0
千葉県
1,041
100.2
埼玉県
630
110.3
茨城県
489
100.7
京都府
472
95.1
神奈川県
466
120.4
北海道
269
100.3
その他
1,888
118.9
合計
6,596
106.6

 

(2) 販売実績

① 販売方法

調剤売上高は主に患者が持参する医師等の発行する院外処方せんに基づいて調剤し、販売代金の一部を患者に対し自己負担金として請求し、残りを国民健康保険団体連合会等に請求しております。

 

② 品目別販売実績

 

地区別
当連結会計期間
(自 平成19年4月1日
  至 平成20年3月31日)
金額(千円)
前年同期比(%)
薬局事業
 調剤売上
  薬剤及び調剤技術に係る収入


64,543,213


111.2
  商品売上
  一般医薬品・化粧品・日用雑貨品等

4,344,745

116.0
小計
68,887,958
111.5
その他事業
1,169,115
130.7
合計
70,057,073
111.7

(注) 上記金額には消費税等は含まれておりません。

 

③ 地区別販売実績

調剤売上を地区別に示すと次のとおりであります。

 

地区別
期末店舗数
前年比増減
金額(千円)
前年同期比(%)
東京都
44
△ 2
14,412,093
103.4
千葉県
37
11,026,732
107.7
神奈川県
18
1
5,188,757
129.9
埼玉県
22
2
4,574,004
112.6
京都府
12
1
4,281,247
104.9
茨城県
23
3
4,151,859
109.2
北海道
10
1
3,048,116
107.2
その他
104
20
17,860,402
118.3
合計
270
26
64,543,213
111.2

(注) 上記金額には消費税等は含まれておりません。

 

3 【対処すべき課題】

当社グループの主要事業である調剤事業において、薬剤師は「医療の担い手」として医療人に位置づけられていましたが、第5次医療法改正により薬局が「医療提供施設」として位置づけられ、地域医療連携、生活習慣病対策、医療費適正化対策など、保健衛生全般に関わることが要求されるものとなり、その社会的責任の重要性が問われるとともに、社会環境の変化に対応した薬局機能、薬剤師機能を求められております。一方で、国や地方の財政を圧迫している国民医療費の増加は、支出削減の矛先が社会保障費の削減見直しに向かい、医療制度改革関連法の成立へと進展しております。このような業界環境のもとで、求められる薬局・薬剤師の形態として、良質な医療サービスの提供と、企業価値の向上を対処すべき課題といたします。 
 良質な医療サービスの提供に関しましては、法令の改正を鑑み、ハードやソフトの両面から薬局機能の拡充を図る事により、患者・顧客の満足度を向上させます。この中には薬剤師のスキルアップや社員の資質向上が含まれ、社員教育や研修機能の充実を図ります。 
これにより医療・保健に関する付加価値の高いサービス提供のみならず、調剤業務の安全性向上により患者・顧客より「選ばれる薬局・薬剤師」を目指すものと致します。 
 薬剤師の人員確保におきましては、社内教育制度や研修制度の充実、薬学生の調剤実習受け入れなどにより、社外の薬剤師や学生に対するアナウンス効果が見込まれ、事業規模の拡大に連動した人員の確保が可能と考えております。 
 企業価値の向上につきましては、収益力の強化及び業容の拡大に注力して参ります。 
 収益力の強化に関しましては、個々の店舗の効率経営及び経費・販売管理費の削減を基本に図ってまいりますが、同時に財務体質の改善も目指しており、営業キャッシュフローの範囲内での設備投資を基本に行うことにより、有利子負債の圧縮が計画通り進行しております。 
 業容の拡大に関しましては、収益性・継続性を重視した、且つドミナント戦略に沿った新規出店を行うとともに、「医療モール」等の医師との医療連携が求められる出店にも取組み、薬局機能の向上と新規出店機会の創生とを図ってまいります。 
 一方で業界環境の悪化に比例してM&Aのビジネスチャンスが膨らみますが、投資効率を鑑み、企業価値を精査・厳選した上で取り組みます。 
 又、新規出店機会の到来やM&A等による事業規模の急激な拡大により固定資産、人件費等が増加し、予算以上の資金需要が発生する可能性が有りますが、これらに対応する資金調達に関しましては、コストを優先した調達先の選択・多様化により対処して参ります。
 当社グループは、北海道地区の薬局経営を行う北海道クラフト株式会社と、関西地区の薬局経営を行う有限会社オーク、有限会社スマイル、薬剤師の人材派遣を主とするクラシス株式会社、診療報酬のファクタリング事業を行うクラフトファクタリング株式会社とで構成されております。これら企業集団の体質を強化するほか、今後、医薬分業進展の機会を積極的に捉え、調剤業界のリーディングカンパニーの地位確立に努めてまいります。  

 

4 【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)法的規制 
 当社グループの主要事業である「薬局事業」においては、薬局の開設やレセプト請求に対し、薬事法や健康保険法等による法的規制があり、厳格な遵法が謳われております。さらには、地方自治体ごとに運用細則が決められ、個別の対応が求められる場合があります。従って、全国展開・出店する企業としての強みである、全店一律な管理体制を敷く事が難しく、販売管理費の圧縮等によるコスト削減が劇的には進み難い状況に有ります。また、現在では2年に1度施行されている「診療報酬改定」や「薬価改定」等の制度改革が、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 
(2)医薬品の仕入 
 当社グループの主要事業である「薬局事業」で、売上の約75%を占める医療用医薬品の仕入において、医薬品卸業者との間で行う納品価格の交渉は年々厳しさを増しており、業績予想においては当社の想定する価格に基づいて収支計算を行っております。従って、当社の想定する価格と異なる価格で妥結する場合があり、業績予想と実績との間に乖離が生じる可能性があります。 
(3)売上高の状況 
 「処方せん調剤」の業界におきましては、病気の流行や気候の変化により医療機関への受診機会が増減し、それに伴い処方せん発行が増減する事となりますので、処方せんの応需枚数の変動は、調剤売上の増減に直結します。従いまして、気候変動等によっては業績が計画通りに推移しなくなる可能性があります。 
(4)新規出店、M&Aの成否 
 調剤薬局は、基本的に医療機関からの処方せん発行が無くならない限り、当初計画した応需枚数を継続して確保できるものでありますが、翻って、医療機関に変化がない限り、当初計画以上の処方せんを応需する事もできない状態にあります。従って、昨年度対比で売上を伸ばすには、新規出店やM&Aの手法により店舗数を増やし、応需処方せん枚数を増加させる事が必要となりますが、当社の意向に沿って医療機関が処方せん発行に踏み切るかどうかは、保証されたものではなく、また、M&Aの取り組みにおきましても、相手方との交渉次第によっては、効果的な結果を得られない場合があり、その場合、業績に悪影響が及ぶ可能性があります。 
(5)財政状態 
 当社グループは、持続的な成長を目指し、安定した利益を確保することを目的に、経営計画を策定し、この中で目標とする売上高を達成すべく積極的に新規店舗の開拓や、M&Aの手法による業容の拡大を図っております。この新規出店やM&Aに対する設備投資資金は、営業キャッシュ・フローの範囲内での投資を原則としておりますが、効率経営に沿った出店・M&Aの機会を逃がすことなくタイムリーな投資を行う場合、年度予算を超過する設備投資を行うこととなり、財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 
(6)個人情報保護 
 当社グループは、調剤業務の一環で、患者情報の収集を行っております。この情報の中には、患者個人のプライバシーにかかわるものが含まれ、個々の個人情報は、コンピュータ管理しております。これらの情報の取扱については、情報管理者を選任し情報の利用・保管などに関する社内ルールを設け、その管理を徹底して万全を期しておりますが、コンピュータシステムのトラブルや、犯罪行為などによる情報漏洩が発生する可能性があり、その場合、当社は社会的信用を失うとともに、企業ブランド・イメージを損ない、売上の減少、損害賠償の発生など当社グループの業績と財政状況に大きな影響を与える可能性があります。 

(7)調剤過誤 
 当社の行っている調剤業務においては、薬剤師のマンパワーに負うところが大きく、業務中にヒューマンエラー、調剤過誤が発生する可能性が有ります。医療用医薬品の場合、用法・容量に厳格な制限があり、他の薬剤との副作用や中毒症状の発症など、医療トラブルの発生する可能性があり、その場合、当社は社会的信用を失うとともに、企業ブランド・イメージを損ない、売上の減少、損害賠償の発生など当社グループの業績と財政状況に大きな影響を与える可能性があります。 
(8)システムに関するリスク 
 当社グループでは、店舗における調剤支援システムを基本に、本社に設置した基幹システムに各店の情報を取り込み、全社的な情報処理を行っております。万一、風水害や火災等の発生、社内ネットワークへの外部からの不法侵入やウイルス感染障害により個別のシステムがダウンした場合、手作業による調剤業務を行う事となり、店舗での業務が滞ることにより待ち時間が長引き、顧客(患者)に多大なる迷惑をお掛けする事態となります。かかる事態は顧客(患者)の来店回避を引き起こし、当社グループの売上減少などの影響を与える可能性が有ります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

当社は、相模台商事株式会社から、松栄調剤薬局を譲り受けました。その主な資産は、流動資産162百万円,固定資産1百万円、流動負債186百万円、であります。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。

 

7 【財政状態及び経営成績の分析】

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に貸倒引当金、賞与引当金及び退職給付引当金であり、継続して評価を行っております。
 なお、見積り及び判断・評価については、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。

 

(2)経営成績の分析

 当社グループの当連結会計年度の経営成績は、新規出店・M&Aによる積極的な事業拡大を進めた結果、売上高は前連結会計年度比11.7%増の70,057百万円となりました。経常利益は29.6%増の4,661百万円、当期純利益は72.4%減の402百万円となりました。

① 売上高 
 薬局事業は前連結会計年度に比べて11.5%増の68,887百万円となり、その他売上は30.7%増の1,169百万円となりました。

② 売上総利益
 売上原価は売上高の増加に伴い、前連結会計年度比10.0%増の59,410百万円となり、売上原価率は1.3%減の84.8%となりました。これにより売上総利益は前連結会計年度比22.4%増の10,647百万円となりました。

③ 営業利益
 業容の拡大に伴う人件費や賃借料の増加等により、販売費及び一般管理費は前連結会計年度比16.8%増の5,503百万円となりました。営業利益は前連結会計年度比29.1%増の5,143百万円、対売上高比率では前連結会計年度比0.9%増の7.3%となりました。

④ 営業外損益
 営業外収益は、前連結会計年度比29.7%増の356百万円となりました。営業外費用は、前連結会計年度比26.6%増の838百万円となりました。

⑤ 特別損益 
 特別利益は、投資有価証券売却益の6百万円となりました。特別損失は債権譲渡損、役員退職慰労金等により3,910百万円となりました。

 

(3)経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの置かれております処方せん調剤の業界におきましては、2年毎に薬価差益の縮小や調剤報酬の抑制等、医療費抑制に向けた施策が執られ、それぞれの法改正に対応した調剤システムの更新費用や、人材のスキルアップトレーニングといった対応費の増大、及び制度改革による粗利益率の減少等が懸念されます。

 

(4)財政状態の分析

① 流動資産
 流動資産は、前連結会計年度比12.6%減の12,304百万円となりました。現金及び預金の減少1,479百万円が主な要因です。

② 固定資産
 固定資産は、前連結会計年度比10.3%増の15,470百万円となりました。営業譲受によるのれんが960百万円増加したことが主な要因です。
③ 流動負債
 流動負債は、前連結会計年度比6.8%増の16,599百万円となりました。未払金が1,672百万円増加したことが主な要因です。
④ 固定負債
 固定負債は、前連結会計年度比26.0%減の4,586百万円となりました。長期借入金が1,124百万円減少したことが主な要因です。
⑤ 純資産の部
 純資産の部は、前連結会計年度比3.5%増の6,588百万円となりました。この内訳につきましては、連結株主資本等変動計算書をご参照下さい。

 

(5)戦略的現状と見通し

 当社グループといたしましては、これらの状況・要因を踏まえて、規模の拡大、効率経営による収益力の強化、並びに財務体質の改善を対処すべき課題として掲げております。

 

(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループの資金状況は、当連結会計年度末における現金及び現金同等物が前連結会計年度末に比べ1,480百万円減少し1,293百万円となりました。当連結会計年度における状況につきましては、「第2 事業の状況、1 業績等の概要、(2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

(7)経営者の問題認識と今後の方針について

 当社グループ経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めておりますが、将来における医療制度・薬価改定等は予想の域を越えることが出来ず、正確な長期方針の立案は難しいものとなっております。しかしながら、過去の事例や業界環境の推移及び経済動向等を総合的に判断し、常にリスク要因を加味して、将来の方針を策定しております。





出典: クラフト株式会社、2008-03-31 期 有価証券報告書